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視察報告

静岡県庁

平成27年6月10日(水)

健康福祉部医療健康局 健康増進課

視察目的

長寿はもちろんであるが、現在「平均寿命」より、制限されることなく健康的に日常生活ができる、いわゆる「健康寿命」が全国的に注目されている。平成26年の厚生労働省の発表によると、静岡県の「健康寿命」は男性2位、女性は1位となっている。静岡県は、全国に先駆けて健康寿命日本一を掲げ、さまざまな取り組みを行っているが、その中の一つである「健康マイレージ事業」及び「ふじ33プログラム」の内容、経過、効果などを調査することにより、今後の埼玉県民の健康寿命施策などについて参考とする。

視察内容

健康長寿日本一になった理由としていくつか特徴として、①地場の食材が豊富で、食生活がゆたかであること。②全国一のお茶の産地であり、健康によいお茶の購入量が日本一であったこと。③健康づくりや介護予防に県と市町が一体となって取り組んできたこと。④元気に働いている長寿者が多いことや、⑤温暖な気候からくる穏やかな県民性であることなどがあるなどの静岡県の県民性について説明があった。その土壌の上に本事業が成り立っているとのことであった。また、本事業を始めるに当たり、事前調査をおこなった結果、約7割を占めているという健康無関心層にターゲットを定め、「お得」「美味しい」「おもしろい」をキーワードに各自治体に依頼をかけたとのことであった。ターゲットを具体的に定めることによって、より効果的な事業になったことはもとより、ここでのもう一つのポイントは、恒常的に毎年予算が取れないと事業自体がつぶれてしまうことが予想されたため(=単年度で成果の上がるものではない)、予算ありきではなく、地元企業の社会貢献という形(協力店の補助などは一切なし)でおこなったことが挙げられる。具体的には、無関心層へのアピールとして「ふじのくに健康いきいきカード(=優待カード)」を発行し、すし、クーポン券、レシピ本、お菓子のおまけ、ポイントサービスなど、様々なお得を実感してもらえる工夫がちりばめられているのが特徴である。
もちろん協力店のメリットもあり、・新規顧客の開拓、・県のHPで店舗やお知らせなどが掲載できるので、自店のPRにつながる、・市や県と一緒に健康づくりに取り組んでいることをPRできる、などである。現在も協力店は増え続け、740店舗となっている。
これまでの成果として、健康いきいきカード取得者は12000人、この事業が日本中から注目されることによって、広報経費に換算すると11.6億円に上るとのことであった。
今回は、健康マイレージについて調査をしたが、①ふじ33プログラムの普及、②健康長寿の研究、③企業表彰制度、④健康マイレージ事業の4事業が柱となっており、重層的な事業おこなっている結果健康長寿日本一になっている。


写真1:視察の様子


写真2:いきいきカード


写真3:説明下さった土屋課長

提言

埼玉県では、今回視察した「健康マイレージ」施策とは内容は全く別物だが、「パパママ応援ショップ」事業がある。話の中でも出てきたが、仕組みとして埼玉県のパパママ応援ショップを参考にして本事業をおこなったという説明もあった。事業は異なるが、仕組み自体の下地はできていると考えられるので、「健康マイ・レージ」事業化が比較的導入しやすいのではないかと思った。また、健康マイレージ事業によって直接、健康無関心層の県民に働きかけたことによる効果はもちろんであるが、静岡県総合健康センターが主体となっておこなっている事業であるが、特筆すべきは、健診データ分析を国民健康保険データだけでなく、組合健康保険データも入手し、精緻におこなっていることである。その上で、健康長寿研究、研修事業などをおこない、健康課題の「見える化」を行っていることである。例えば、県内市町ごとに「メタボ該当の見える化」「高血圧該当の見える化」「喫煙者の見える化」「食の地域差の見える化」などを実施しており、各市町ごとに特定健診データ分析を効果的におこなっていることは、埼玉県でも取り入れるべき課題であると考える。

【視察参加者】

山川、畠山、吉田、浅野目、田並、木村、菅、山本、水村、山根、江原

【説明者】

静岡県健康福祉部医療健康局健康増進課 課長 土屋 厚子氏

静岡県庁

平成27年6月10日(水)

経済産業部商工業局 地域産業課

視察目的

静岡県は、商業分野での新規開業や後継起業を希望する人を支援するとともに、個人商店の後継者難の解消を図ることで、地域の名店を守り、県内商業の活性化を目的に様々な地域商業の振興策を実施している。先進事例を視察調査することにより、埼玉県内における地域商業振興の参考とする。

視察内容

静岡県で実施している「ふじのくに魅力ある個店」登録制度や地域商業パワーアップ事業費助成などについて、静岡県担当者より説明を受けた。

地域産業課長代理からの説明の要点

  1. 静岡県の商業の現状
    販売額、事業所数、従業者数ともにリーマンショック以降顕著に減少している厳しい現状である。県内でも特に地方に行くと商店が疲弊している。

    卸売業・小売業商品販売額の推移
    平成11年:12兆5139億円 平成24年:9兆3878億円
    卸売業・小売り事業所数の推移
    平成11年:57,063ヶ所 平成24年:45,480ヶ所
    卸売業・小売業従業者数の推移
    平成11年:347,469人 平成24年:314,916人

  2. ふじのくに魅力ある個店登録制度
     こうした厳しい商業の現状に対して、平成23年3月に「ふじのくに魅力ある個店登録制度」を創設した。目的は、基本理念に賛同し、所定の項目を宣言した「ふじのくに魅力ある個店」を登録し、一般消費者や商業者に対し情報発信・PRをすることで、県内に魅力ある個店を増やし、地域商業の活性化を図ることである。
     対象店舗は、県内で昼間営業している小売店・飲食店などで、経営者である店主自らが、接客などに直接関わる個別の路面店舗である。チェーン店や大型テナントは対象外。
    登録済みの店舗は平成27年3月末で、462件。
    主な取り組みは、特設WEBサイトや消費者特派員による個店の情報発信、個店交流勉強会や個店塾の開催、若手・女性商業者グループによるモデルプロジェクトの実施などである。お店側のメリットは、個店塾の開催、節電避暑店キャンペーン、チームかぐやの個店チェック、個店交流勉強会などである。
    平成27年度の当初予算は400万円。

  3. 地域商業パワーアップ事業費助成
     「地域商業パワーアップ事業」は地域を支える魅力ある商業環境づくりを推進するため、地域の特色を活かした商店街などの活性化に取り組む市町に対して助成するものである。
     補助率は対象経費の3分の1以内でかつ市町補助額の2分の1以内である。また補助限度額は、上限500万円、下限は30万円である。平成27年度の当初予算は1800万円である。
     個店魅力アップ支援、魅力ある買い物環境づくり支援、買い物弱者対策支援、タウンマネージャー配置支援の補助区分がある。

  4. 次世代商業を担う新規開業者、継続者の育成
     地域商業にとって、空き店舗の増加や後継者不足は、喫緊の課題となっており、静岡県では、商業分野における新規開業を促進し、魅力ある個店づくりを推進するため、平成23年度から、緊急雇用創出事業を活用し、開業セミナーを開催している。
     平成25年度は、開業セミナーに加え、後継者がいない「ふじのくに魅力ある個店」と、個店を継承して起業する意思のある者とのマッチング事業を実施した。
     更に、平成26年度は、平成25年度の内容に加え、「ふじのくに魅力ある個店」を対象に、事業継承セミナーを実施した。
     なお、これらの事業は民間企業への委託で実施している。
     また「事業引き継ぎ支援センター」を全国で4番目に設置した。現在は、全国で8ヶ所に設置されている。
     今年度は、国の緊急雇用創出事業の補助金がない。



  5. 写真1:静岡県庁での視察の様子


    写真1:視察資料の一例(「ふじのくに魅力ある個店に行こう!」パンフレット)

    【視察参加者】

    山川、吉田、畠山、浅野目、田並、菅、木村、山本、水村、江原、山根

    【説明者】

    静岡県経済産業部商工業局 地域産業課長代理 中野克彦氏

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